仮想通貨とステーブルコインの規制方針
香港金融管理局は1月31日、暗号資産(仮想通貨)とステーブルコインの規制に関する方針を発表した。主にステーブルコインについて規制対象となる活動や、包括的な規制枠組みを示している。
金融管理局は、昨年1月に仮想通貨とステーブルコイン規制についての協議書を発行し、様々な関係機関からの意見を募集した。今回の方針は、そうした各所からのフィードバックも考慮しながら定められたものだ。
協議書へは、58の団体から意見が寄せられている。その中には、Web3大手アニモカブランズ、最大手仮想通貨取引所バイナンス、リップル社、R3社など業界大手企業も名前を連ねていた。
ステーブルコイン規制
金融管理局は、ステーブルコインに関連する活動を行う団体に対して、ライセンス取得を義務付ける予定だ。ステーブルコインの構造に応じてリスクを評価し、それを最小化するアプローチを採用していく。
まず、優先事項として、法定通貨に価値を紐づけるステーブルコインへの規制を先行させる。こうしたステーブルコインは他のものよりも、金融・財政安定面でのリスクがあると判断する形だ。将来的には、他のステーブルコインも規制対象としていく計画である。
規制対象となる活動としては、ステーブルコインの「管理運営」「発行」「価値安定化、準備金手配」「ウォレットの提供」が挙げられた。
香港当局のライセンスが必要な事業者は、香港で規制対象となる活動を行う事業者や香港でサービス提供する事業者の他、香港ドルの価値と紐づくステーブルコインに関する活動を行う事業者などとなる。
無担保型ステーブルコインは許可せず
金融管理局は、規制の原則も示した。まず、完全な裏付けと額面での償還を求める。
「完全な裏付け」に関しては、裁定取引やアルゴリズムによって価値を安定させる無担保型ステーブルコインは不可としている。また、ステーブルコイン準備資産の価値は、常に発行済みのステーブルコインの価値を満たすもので、流動性が高いものでなければならないと続けた。
背景として、昨年5月には、アルゴリズムによって価値を支えていたステーブルコインUSTの価格が崩壊して、仮想通貨市場の債務不履行連鎖のきっかけともなっている。
金融管理局は、規制対象となる事業者は、あるライセンスの下で許可されている事業から逸脱するような活動を行うべきではないとも規定した。例えば、ウォレット事業者が、レンディング業務を行うことは不適切だとしている。
その他、ステーブルコインの所有権や、リスク管理、マネーロンダリングおよびテロ資金対策、ユーザー保護、監査や情報開示などの領域についても、規制要件が策定される予定だ。
仮想通貨に積極的な香港
香港政府は、仮想通貨業界の発展を促進する政策を進めている。昨年12月に香港の議会は、仮想通貨サービスプロバイダーのライセンス制度を導入する法律を可決した。
今年1月には、香港証券先物委員会CEOが、個人投資家に仮想通貨取引を認めるためのルールを整備しているところだと話している。
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