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ステーブルコイン勢力図に変化 BUSDドミナンス減少の一方、USDTは再び50%超に

BUSD問題で提訴の可能性

米証券取引委員会(SEC)は、米ドル連動型のステーブルコイン「Binance USD(BUSD)」が有価証券であると主張し、その発行企業パクソスがSECに証券の登録を怠ったとして「Wells Notice(ウェルズ通知)」を発行した。

パクソスは13日、同通知をその10日前(2月3日)に受け取っていたと発表。SECの判断に同意しない姿勢を明らかにした。

BUSDは連邦証券法に基づく有価証券ではないため、パクソスはSEC職員に断固として意義を唱える。我々は、この問題についてSEC職員と議論し、必要であれば徹底的に訴訟に持ち込む用意がある。

ウェルズ通知とは、SECが通知された企業や個人に対し、法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書。ただし、強制措置の執行には5人のSEC委員による投票が必要で、必ずしも訴訟に結びつくとは限らないという。

パクソスは13日、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からBUSDの新規発行停止を命じられた。同社は今月21日でBUSDの新規発行を終了し、BUSDを巡るバイナンスとの関係も終了すると発表。一方、顧客資産の安全性を最優先し、BUSDの管理・償還サービスは提供を継続するとした。

パクソスの未監査BUSD保有レポートによれば、償還前のBUSD161億4000万ドルを上回る164億ドルのドル建て準備金のうち、125億ドルが米財務省の「リバースレポ契約(RRP)」で保有されている。

RRPは債券を担保として資金を借り入れるもの。23年4月に満期を迎える米短期国債は31億ドル相当。

パクソスの保有資産証明レポートは、独立会計事務所である「WithumSmith+Brown, PC(Withum)」によって発行され、毎月末から5営業日後に、ポートフォリオ構成を開示している。

パクソスを監督する米ニューヨーク州デジタル金融サービス局は、償還に対応するステーブルコインの準備金について、分別管理した上すべての発行済ステーブルコイン価格と同等以上の保有を定めている。

パクソスは2021年に準備資産の内訳を公開しており、約96%が現金および現金同等物、残り4%が政府発行で償還期限が1年以内の「米国財務省短期証券」としていた。

BUSDの問題点

BUSDは大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの名を冠したステーブルコイン。2019年にバイナンスとパクソスによって共同開発され、NYDFSの認可・監督の下、パクソスがその発行と保管・管理を行っている。

NYDFSはBUSDの発行停止を命じた理由として、パクソスとバイナンスの関係において未解決の問題が複数あると指摘。次のように説明した。

BUSD発行の認可はパクソスに与えたイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上での発行に関する認可である他のブロックチェーン上で発行されるBUSDについては認可していない

バイナンスの公式サイトによると、ETH以外のブロックチェーンで提供されるBUSD(Binance-Peg BUSD=BP BUSD)の発行サービスはバイナンスが提供している。バイナンスがパクソスが発行するETH上のBUSDをロックし、同量のBP BUSDを他のブロックチェーンネットワークで発行している形だ。

規制当局は、この点を問題視している可能性がある。

ブロックチェーン分析会社ChainArgosのデータから、2020年から2021年にかけてBinance-peg BUSDは頻繁に担保不足に陥っていたと、ブルームバーグが指摘。バイナンスが保有するBUSDの準備金とBP BUSDの供給量の差が1,300億円(10億ドル)を超えたこともあったという。

バイナンスは、BP BUSD準備金の維持に関して、過去に幾度かのトラブルがあったことを認め、BP BUSDがBUSDと1対1で担保されるようチェックを強化し、そのプロセスを改善したと発表した。

BUSDは有価証券か

FTXの崩壊以降、SECは仮想通貨に対する規制の手綱をますます強めており、ステーブルコインが次のターゲットとなるのか、業界は慎重に見守っている。

そんな中、有価証券の判断基準となるハウィーテストに照らし合わせると、BUSDを証券と定義することは困難だと指摘する声もある。以下の4要素全てを満たしたものが証券だとみなされる。

金銭の投資である共同事業である利益に対する合理的な期待がある他者の努力から利益を得る

BUSDはステーブルコインであり、その保有だけで利益を得ることを目的にしておらず、パクソスがBUSDの利回り商品を提供しているわけではない。

仮想通貨支持派として知られるパット・トゥーミー米上院議員は、2021年の公聴会でゲリー・ゲンスラーSEC委員長に対し、ステーブルコインはハウィテストの基準を満たしていないとして説明を求めた経緯がある。

パクソスおよびBUSDを巡る情勢を受け、大手暗号資産取引所の基軸通貨ペアとして活用されるステーブルコインの勢力図にも変化が生じている。

Glassnodeのデータによれば、BUSDのドミナンスが22年11月の17%から12%まで減少する一方、テザー(USDT)のドミナンスが拡大。22年5月以来となる52%水準を上回った。業界2位のUSDCは約30%を維持している。

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